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年末調整で経費は落とせる? 会社員と個人事業主の違いをわかりやすく整理

年末調整の時期になると、従業員から必ずといっていいほど質問されるのが、
「会社員でも経費って落とせるんですか?」
というものです。

結論から先に伝えると、会社員は年末調整で経費を落とすことはできません。
しかし一部の例外があり、それを知らないことで損をしてしまうケースもあります。

この記事では、会社員と個人事業主の決定的な違い、そして年末調整に関係する“例外的な経費”までわかりやすく解説します。


1. 年末調整は「給与所得者専用の仕組み」

年末調整とは、給与所得者に関係する控除を会社がまとめて処理する制度です。
対象になるのは、以下のような控除です。

・扶養控除
・配偶者控除
・生命保険料控除
・社会保険料控除
・住宅ローン控除(2年目以降)

これらは“家族構成や保険加入”など、プライベートに関する控除です。
一方で、事業用の支出を計上する「経費」という概念は年末調整には存在しません。


2. 会社員には「経費」が認められない理由

会社員の所得は「給与所得」として扱われます。
この給与所得は、「給与所得控除」という大きな控除があらかじめ設定されています。

給与所得控除とは、
会社員が仕事で通常かかる費用をまとめて概算で控除する仕組み
です。

この控除額は収入によって自動的に決まるため、
・スーツ代
・通勤費(会社が支給しないもの)
・仕事のための書籍代
などを経費として個別に落とす必要はありません。

つまり、
「会社員は個別の経費計上が不要になる仕組み=給与所得控除」
があるため、年末調整では経費が取り扱われないのです。


3. 例外的に“経費のような控除”が認められるケース

年末調整では扱えませんが、次のような場合は「確定申告をすることで」経費に近い控除を受けられます。

◎ 医療費控除

年間10万円(または所得の5%)を超える医療費があれば確定申告で控除できます。

◎ 雑損控除

災害・盗難・横領などの被害を受けた場合に適用。

◎ 寄附金控除(ふるさと納税)

ワンストップ特例を使っていない場合は確定申告が必要。

◎ 特定支出控除

会社員でも「一定の仕事上必要な支出」が給与所得控除を超える場合に認められる制度です。
対象になるのは、主に次の支出です。

・仕事に必要な資格取得費
・転勤に伴う引越費用
・研修費
・業務に必要な書籍代
・通勤費(会社が支給しない場合)

ただし、この制度は「会社の証明書が必要」というハードルがあるため、実際に利用されることは多くありません。


4. 会社員と個人事業主の違い

年末調整について従業員が誤解しやすい理由は、“経費の扱い方の違い”が大きいためです。

・経費
 個人事業主は経費計上あり、会社員は経費の代わりに給与所得控除がある

・年末調整
 個人事業主にはない(必ず確定申告)、会社員は会社が年末調整を実施。確定申告不要。

・手続き
 個人事業主は自分で帳簿を作成、会社員は必要書類の提出のみ

経営者としても、従業員からの質問に答えられるよう整理しておくと安心です。


5. 従業員への案内で特に重要なポイント

会社側としては、次の点を説明しておくと誤解が減ります。

・年末調整で“経費”は扱わない

個人事業主の確定申告とは仕組みが大きく異なる。

・必要な控除は年末調整で処理

保険料控除、扶養、住宅ローンなどは会社が行う。

・経費に近い控除は“確定申告が必要”

医療費・寄附金・特定支出控除は年末調整ではできない。

こうした案内は従業員の不満や誤解を防ぐうえで非常に重要です。


6. まとめ

会社員の年末調整には「経費」という概念はなく、給与所得控除によって自動的に処理されています。
一方、医療費控除や寄附金控除など、確定申告をすることで受けられる控除は存在します。

経営者としては、
・年末調整でできること
・確定申告でしかできないこと
を整理して従業員へ案内することが大切です。

自己紹介

竹澤 直樹

竹澤 直樹

運営者プロフィール

税理士、コンサルタント
東京中央税理士法人 社員税理士(役員)WTA事業部長
合同会社ライズアビリティ 代表社員
フジ設計コンサルタント株式会社他、顧問先企業の取締役、監査役を歴任

高校卒業後に税理士を目指す。大原簿記専門学校卒業後、
田上会計事務所(現 東京中央税理士法人)で働きながら、
東亜大学大学院法学専攻(修士)を修了。
2015年税理士登録

趣味は、株式投資とゴルフ
土日は犬の散歩をしながら、リフレッシュしています。
猫もいますが、エサが欲しい時しか甘えてきません。

ひとつひとつていねいに会社の数字を学ぶ

著書

「ひとつひとつていねいに会社の数字を学ぶ」
(かんき出版)

運営会社

会社名
合同会社 ライズアビリティ
代表者名
代表社員 竹澤直樹
住所
埼玉県志木市本町5-23-24 第3本吉ビル4階
法人設立年月日
令和1年6月4日
資本金
100万円