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- 「車検代8万円、そのまま全部経費で入れていいですか」——消費税がかかる部分、かからない部分
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車検代をまとめて1行の「課税」の経費で入れると、消費税を差し引きすぎた計算になります。重量税・自賠責保険料・印紙代の3つには、消費税がかかっていないからです。
先日、顧問先の社長からこんな質問をいただきました。
「竹澤さん、車検が8万円ちょっとだったんです。カードの明細からそのまま車両費で入れちゃったんですけど、これでいいですよね?」
この社長は、営業に使う車を会社名義で持っている一人社長です。会計ソフトはクレジットカードと連携していて、車検代も明細から1行で取り込まれていました。消費税は原則課税で申告しています。
答えを先にお伝えすると、こうなります。
車検代が経費になるのはそのとおりです。ただし、消費税の区分は分けて入れる必要があります。法定費用の3つをまとめて「課税」にすると、この例では消費税の控除が4,000円ほど多くなってしまいます。
順を追って説明します。
■ 車検代は「法定費用」と「整備費用」に分かれます
車検の請求書は、大きく2つに分かれています。どこで車検を受けても金額が同じ「法定費用」と、お店ごとに金額が違う「整備費用・手数料」です。
車両重量1.5トン以下の普通車(13年未満、エコカー減税なし)を、指定工場で車検に出した例で見てみます。
【法定費用】
・自動車重量税(2年分):24,600円……消費税の対象外
・自賠責保険料(24か月):17,650円……非課税
・検査手数料(印紙代):2,100円……消費税の対象外
【整備費用・手数料】
・点検・整備費用:28,000円+消費税2,800円
・車検代行手数料:5,000円+消費税500円
合計は80,650円です。このうち消費税がかかっているのは、整備費用と代行手数料の36,300円だけです。重量税と印紙代は国に納める税金・手数料、自賠責は保険料なので、消費税がかかりません。
■ 仕訳はこうなります
税抜経理の法人の場合、1行ではなく、内訳ごとに分けて入れます。
借方:租税公課 24,600円(対象外)……重量税
借方:保険料 17,650円(非課税)……自賠責
借方:租税公課 2,100円(対象外)……印紙代
借方:修繕費 28,000円/仮払消費税 2,800円……整備
借方:支払手数料 5,000円/仮払消費税 500円……代行手数料
貸方:未払金 80,650円
科目は「車両費」にまとめても構いません。大事なのは科目ではなく、消費税の区分を内訳ごとに正しく付けることです。
■ まとめて入れると、何がまずいのか
80,650円を1行で「課税」にすると、会計ソフトは消費税を次のように計算します。
80,650円 × 10/110 = 7,331円
本来の消費税は3,300円なので、4,031円多く差し引いたことになります。
「たった4,000円ですか」と社長は笑っていましたが、車検は2年ごとに必ず来ます。車が2台あれば倍です。税務調査で見られやすいところでもあり、指摘されれば過去の分までさかのぼって修正し、加算税がかかることもあります。一度正しく入れておけば、次からは同じ形で入力するだけです。
なお、簡易課税や2割特例で申告している方は、仕入れの消費税を実額で計算しないので、納める税額への影響はありません。ただ、将来原則課税に切り替えたときに困らないよう、区分は正しく付けておくのがおすすめです。
■ 自賠責は「2年分」という点にも注意
もう一つ気をつけたいのが、重量税と自賠責が2年分をまとめて払うものだという点です。
特に自賠責保険料は、税務上の原則でいえば、決算日より先の期間の分は「前払費用」として資産に残し、月ごとに経費にしていきます。1年以内の分なら支払時に全額経費にできる特例がありますが、24か月分はそのままでは当てはまりません。金額の大きさと手間のバランスで、どう処理するかを決めておき、毎年同じやり方を続けることが大切です。
また、自賠責の保険料は2026年11月1日以降に始まる契約から引き上げられる予定で、普通車の24か月は18,560円になる見込みです。11月以降に車検を迎える方は、金額が変わる点も頭に入れておいてください。
■ 請求書のどこを見れば分けられるか
分けるといっても、難しい計算は要りません。車検の請求書には、たいてい「法定費用」「預り金」「諸費用」といった見出しで、重量税・自賠責・印紙代がまとめて書かれています。これは整備工場がいったん立て替えて、国や保険会社に納めるお金です。
見分け方の目安は、「その行に消費税がついているかどうか」です。請求書の中で消費税が計算されているのは、整備費用や手数料の部分だけのはずです。消費税がついていない行は、対象外か非課税として入れます。
会計ソフトでカード明細から取り込んだ場合は、1行のまま登録せず、請求書を見ながら複数の行に分けて(複合仕訳にして)登録します。車を買い替えたときに払う「リサイクル料金」も、消費税がかからないうえ、経費ではなく預け金として資産に計上するものなので、同じように分けておきます。
■ 個人事業主は、按分も忘れずに
個人事業主の場合は、私用でも使っている車なら、車検代も事業で使った割合だけを経費にします。按分の割合は、ガソリン代や駐車場代と同じにそろえます。考え方は車・ガソリン代・駐車場代はどこまで経費にできる?で詳しく書きました。按分したうえで、消費税の区分も内訳ごとに分けます。
■ まとめ
・車検代は「法定費用」と「整備費用・手数料」に分かれる
・重量税と印紙代は消費税の対象外、自賠責は非課税
・消費税がかかるのは、整備費用と代行手数料だけ
・請求書の「法定費用」「預り金」の部分は消費税がかからない
・カード明細の1行のまま「課税」にすると、控除が過大になる
・この例では4,031円の過大控除。2年ごと、台数分積み重なる
・自賠責は2年分。前払費用の扱いを決めて、毎年同じ処理を続ける
・個人事業主は、事業で使った割合で按分する
会計ソフトとカードを連携すると、入力は本当に楽になります。ただ、取り込まれた1行が正しい区分になっているかどうかまでは、ソフトは判断してくれません。車検のように「中身が混ざっている支払い」は、請求書を見て分けるひと手間が必要です。
一度この形を覚えてしまえば、次の車検からは迷わず入力できます。
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自己紹介
竹澤 直樹
運営者プロフィール
税理士、コンサルタント
東京中央税理士法人 社員税理士(役員)WTA事業部長
合同会社ライズアビリティ 代表社員
フジ設計コンサルタント株式会社他、顧問先企業の取締役、監査役を歴任
高校卒業後に税理士を目指す。大原簿記専門学校卒業後、
田上会計事務所(現 東京中央税理士法人)で働きながら、
東亜大学大学院法学専攻(修士)を修了。
2015年税理士登録
趣味は、株式投資とゴルフ
土日は犬の散歩をしながら、リフレッシュしています。
猫もいますが、エサが欲しい時しか甘えてきません。
著書
「ひとつひとつていねいに会社の数字を学ぶ」
(かんき出版)
運営会社
- 会社名
- 合同会社 ライズアビリティ
- 代表者名
- 代表社員 竹澤直樹
- 住所
- 埼玉県志木市本町5-23-24 第3本吉ビル4階
- 法人設立年月日
- 令和1年6月4日
- 資本金
- 100万円